2017年9月21日 更新

身体の中からキレイに! ダイエットにも役立つ『おだし』の秘密

だしソムリエ協会代表の鵜飼真妃(うかいまき)が語る、『おだし』の秘密です。ダイエット効果だけでなく、リラックス効果や減塩効果もあるのをご存知ですか? 今回は、知っているようで深くは知らない「だし」についてご紹介します。

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はじめまして、だしソムリエ協会代表の鵜飼真妃(うかいまき)と申します。
「だし」は、だしパック商品も目にすることが増え、だしに関する特集がテレビや新聞や雑誌で取り上げられる機会が増、だしに特化したメニューを扱う店舗も出てきたこともあり、注目度があがってきました。今回は、そんな知っているようで深くは知らない「だし」についてご紹介します。

だしソムリエになったきっかけ

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わたしが「だしソムリエ」と名乗って活動を始めたのは、名古屋でかつお節類の卸業を営む実家から相談を受けたことがきっかけでした。

実家は、業務用卸がほぼ100%でしたが、こういう時代だから通信販売もしたい。さて、何か知恵をちょうだい、と相談されたことがきっかけです。
確かに実家では毎日、母がだしをとっている姿を見ていましたし、そしてお味噌汁を作っていたところは見ていました。「だし」は身近でした。

実家では、かつお節ではなく「宗田がつお」と呼ばれる、血合いが多い、濃厚なだしが取れるものを愛用しており、母は煮物でもお味噌汁でも大体それを使って料理をしていました。冷蔵庫にはいつも宗田がつおの削り節がありました。
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ここで、「かつお節」ではないのですか?と思われた方、鋭いです。

「宗田がつお」、というのはかつおの仲間ではありますが、その身体はかつおとは比較にならないほど小ぶりです。そして血合いが多く、ゆえに濃厚なだしがとれます。

名古屋の独特な味噌文化(豆味噌という大豆100%の濃厚なお味噌を使う文化です。色が濃いのでおなじみでしょうか。)には、上品なかつお節より、宗田がつおをはじめとして、さば節やむろあじ節というものを混合したものだしに使うのが主流でした。

わたしは、かつお節は、お好み焼きや冷ややっこの上から「かけるもの」であり、ぜいたく品だと思っていました。

でも、一般的には、かつお節はだしをとる初心者が最初に使うものですよね。実際には、だしにするなら、もうすこし安価で使いやすく濃厚なものもあるのですが。ということを伝えたい、という気持ちも大きかったです。

「だし」の定義

「だし」とはどんなものなのでしょうか。味付けされたものは「だし」なんでしょうか。どこからどこまでが「だし」なのでしょうか。しかし、本来の「だし」に関して、自信をもってご紹介できる方は、意外と少ないのではないでしょうか。

だしソムリエ協会では「だし」とは、の定義から始めています。削り節やかつお節、などの定義は各業界でありますが、実はだしの定義は法律では存在しません。
そのため、定義を作ることから始めました。
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“だし”とは、素材を煮込んだり炒めたりして、素材のおいしさ、うまみを引き出したもの。味付けはされていない状態のもの

となります。

ここで味付けはされていないもの、というところが重要です。
実家の商品開発から始まり「だしソムリエ」を名乗って活動を始めるわけですが、最初に思ったのは、世に出ている商品のネーミングはあまりにあいまいだ、ということでした。
幼いころから母の「だしとり」の姿を見ていた私にとっては、だしはまず、味付けをしていないもの。味噌や醤油で味付けをするのは別の段階のことであり、味付けされたらそれは「だし」ではない。と思っていました。

さて、「だしとキレイ」の関係についてお話しする前にもう一つお伝えしたいことがあります。
それは「だし」には「意識してとるだし(独立してとるだし)」と「自然にとれるだし」があるということです。
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●意識してとるだし

日本の古来から伝わる乾物素材のだしに代表されるものです。代表的なものとしては、昆布やかつお節、煮干しなどです。

●自然にとれるだし

素材を煮込んだり炒めたりして、素材のおいしさ、うまみが出てきたものを指します。
具だくさんの豚汁を思い浮かべてください。まずはかつお節で「意識して」だしをとって、そのあと、大根などの根菜、豚肉からもおいしいだしが出てきますよね。料理はこんな風に、構成されているのです。

だしの種類

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光には三原色と呼ばれる基本の色(赤・緑・青)がありますが、これと同じように、味にも、5つの基本味「五味」が存在します。
それが、「甘味」「塩味」「酸味」「苦味」「うま味」です。

以前は、ドイツの心理学者ヘニングによって、「甘味」「塩味」「酸味」「苦味」の4基本味説を提唱されていました。
だしに含まれるうま味成分は、素材によってことなりますが、3大うま味要素すべて、日本人科学者によって発見されました。

では、だしには素材ごとにそれぞれどんな特徴があるのか? 見ていきましょう!

昆布だしは、グルタミン酸

東京帝国大学(現東京大学)理学部化学科教授である、池田菊苗さんによって発見されました。
昆布は北海道と東北で採集され、ほぼ国産100%の海の幸です。昆布とひと口にいってもかなりたくさん種類があり、出来具合によって1等、2等、3等…など等級付けされています。
昆布はまるでワインのよう。ビンテージワインのように、何年か専用の蔵で寝かせて熟成させ、まろやかな香りを実現しうまみを増やします。
・うまみ要素
グルタミン酸、アスパラギン酸(少量) 表面の白色粉末は、糖アルコールの「マンニット」です。
・栄養分
牛乳とくらべてミネラルは約23倍。カルシウムは約7倍。鉄分は約39倍も含まれています。
カルシウム、鉄、ナトリウム、カリウム、ヨウ素(ヨード)などのミネラルは、体の組織を作ったり、調子を整えたりする大切な栄養素です。

以下、代表的な昆布たちのご紹介です。

・真昆布(マコンブ)

函館から室蘭にかけてとれる上級品。表面が淡褐色で切り口が白く、高級だし昆布、塩昆布、おぼろ昆布、切り昆布などに使用。

・日高昆布

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別名ミツイシ昆布。日高地区を中心に、広尾~日高~室蘭の道南地区の一部に生育。一般家庭用のだし昆布として、煮上がりが早く、軟らかく味がよいので総菜用としても。

・利尻昆布

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利尻、礼文両島を中心に、留萌~稚内~北見で生産される。真昆布に比べてやや硬いが、だし汁が透明で風味がよく高級料理用とされている。

・羅臼(ラウス)昆布

産地は羅臼。香りがとてもよく、味が濃い名品といわれる。だし汁がにごる欠点があるが人気が高い高級銘柄。軟らかく口あたりが良いので、そのまま細切りにして食べてもおいしい。

かつお節だしは、イノシン酸

池田菊苗さんの弟子である、小玉新太郎によって発見されました。

独特の香りとうまみは日本人にとって懐かしさを感じさせるもの。だしをきちんと取ることで塩分や調味料を減らすことにつながり、また、最近では、フレンチやイタリアンなど西洋料理の隠し味のだしとして使われることにも注目が高まっています。
・うまみ要素
イノシン酸、グルタミン酸(少量)
・栄養分
タンパク質(必須アミノ酸9種を含む)は、生カツオの約3倍、ナイアシンも2倍以上含まれています。
ビタミンA、ビタミンB1 B2 B12、ビタミンD、カリウム、リン、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄なのミネラルが含まれています。

「かつお節」には何種類かあります。製造の工程によるもので、大きく分けると、

・荒節

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かつおを解凍、生切り(頭部分と内臓部分を切ること)、煮熟(煮ること)、骨抜き、ばいかん(燻製作業)、あん蒸(暗室で寝かすこと)まで約1ヵ月で作られたものです。
表面は黒く焦げたような色をしています。スーパーでよく見かける「花がつお」はこの状態のものを削ったものです。さらに、このタール部分を削って赤茶けた表面になったものを「裸節」といいます。ここからカビ付け作業をして枯れ節作りに入ります。

・枯れ節(または本枯れ節)

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荒節が出来上がってからさらにカビ付けをして仕上げます。
カビは、かつお節の表面が茶色い粉で覆われているように見えるものです。
といっても一般的に目にする青カビとは成分が異なる優良カビです。
枯れ節は、一定の温度のと湿度の部屋でカビ付けを2度以上繰り返し、水分を13%以下にしたものしか名乗ることを認められていません。完成までに半年近くかかります。料亭のお吸い物、茶碗蒸しなどに使われ、魚臭さがなく上品な風味です。
その他、かつお節の仲間として、高知県土佐沖で取れる「宗田がつお」、日本全国まんべんなく取れる「さば節」、中部地方で好まれる「むろあじ節」、あっさりした風味の「まぐろ節」、濃い目のだしが取れる「いわし節」などがあります。

乾しいたけのだしは、グアニル酸

ヤマサ研究所の国中明さんによって発見されました。
独特の香りと味を持つ乾しいたけ。 椎茸は干すと、酵素の働きによって味・香り・旨みが変化します。
種類はとても豊富で、大別すると傘の厚みによって「冬子(どんこ)」と「香信(こうしん)」に分かれます。ここからさらに、大きさや形によって種類が細かく分かれていきます。
・うまみ要素
グアニル酸(生しいたけの約10倍)、グルタミン酸(少量)
・栄養分
ビタミンD、ナイアシン、ビタミンB1 B2や、食物繊維が豊富です。
ビタミンDは生しいたけの約9倍、食物繊維は約10倍。体の免疫力を高めるルンチナン、血液中の悪玉コレステロールを下げるエリタデニンも持ちます。
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独特の香りは「レンチオニン」という生椎茸にはない香り。これは乾燥させる過程や水に入れて戻す最中に酵素の作用によって生まれます。でも、この香りが苦手な人も多いようです。
主な生産地は大分県、熊本県、静岡県など。生椎茸の製造方法は、日本では昔ながらの「原木方式」(クヌギなどを使った製法)が多く、玉切りした原木に電気ドリルで植え穴を開け、しいたけ菌糸の入った種駒を植えつけます。伏せ込みを経て、春と秋に収穫します。仕上がりまで2年以上が必要です。

だしとキレイの関係

このように、おいしさ、うまみたっぷりの天然のおだしですが、インスタント食品とは何が違うでしょう…?
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まずはなんといっても「香り」を取り上げたいと思います。
わかりやすいところで、お味噌汁を考えてみてください。インスタント食品とは、素材の新鮮さが違うことはご理解いただけると思います。独立してとるだしも素材からにじみ出ただしも、素材自体がまずは新鮮なものを使っているのが基本です。だからこそ、香りの奥深さが格段に違います。
きちんととった、かつおだし(独立してとるだし)に、大根や人参の根菜類(自然にとれるだし)の甘い香りがほのかに漂い…豚肉の食欲をそそる香り…そしてもちろんお味噌も。
余談ですが、味噌は、発酵した大豆や小麦に塩が加えられて出来上がりますよね。これは大豆や小麦も「だし」として働いていることになります。大豆や小麦のおいしさベースになっているといえます。だから、味噌も「だし+塩」であったりします。
リラックスできて癒される、だしのこの「香り」、わたしはキレイの素だと思っております。
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そして、「減塩効果」もあります。
満足感を高める香りに加えて、だしに含まれるうま味成分がさらに満足感を高めてくれる効果もあります。その結果、必要以上に塩分をとり過ぎることを避けられるのです。
もちろん、人間は適量の塩分は必要です。汗を流せば塩分は出ていくので補給も必要です。体を温める効果もあります。しかし、必要以上の塩分摂取は、高血圧などにつながります。そして、もっともっと…!と体がマヒしていくことにもなりますので、注意したいです。
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さらに、うれしい「ダイエット効果」もあるようです。かつお節やかつおだしに含まれるヒスチジンというアミノ酸は、脳内でヒスタミンに変化し、満腹中枢の一つであるヒスタミンニューロンを刺激して満腹感を与える効果があるといわれています。
これはすなわち、食欲を抑える効果があるということになるのではないでしょうか。
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いろいろ細かいメリットを取り上げてみましたが、「だし」を意識することは、食事のベースを整えることになると思います。
なんといっても、「だし」は目に見えにくい存在です。見えにくいところを意識して気を配れたなら、おのずと健康に気を配り、栄養バランスの良い食事を心がけることになりますよね。それは結果的に、健康、美肌、生き生きとしたオーラに近づいていくのだと思います。

美も健康も見えるところを磨くだけではまだまだです!見えにくいところに気を配ってこそ、内面からにじみ出てくる美しさや充実感に磨きをかけていくのだと思います。そのためには「だし」ライフを取り入れることはきっと効果的だと、私はそう思っています。

[だしソムリエ協会]

日本で唯一、だしに特化した検定講座と情報発信をしております。
検定講座は1級~3級まであり、北は北海道から南は沖縄まで、延べ3,000人ほどの方たちに受講していただきました。また、そこからさらに研鑽を重ねた「認定講師」も50名ほど、全国で講座を開催しています。
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美肌ラボ編集部 美肌ラボ編集部